無着成恭先生の「山びこ学校」

「山びこ学校」とは、山形県山元村、現在の上山市の中学校で、無着(むちゃく)成恭先生が、綴方(つづりかた、今でいう作文)を通して、子どもたちの生活意欲と生活知性、今でいうところの「生きる力」を育てようとした実践のことです。

戦後すぐの昭和23年ごろは、全国的に生徒の学校の欠席率が高かったそうです。なぜならば、農村の生活が貧しく労働力として子どもたちが働いていたからです。無着先生は、そうした生徒をサポートしながら、綴方を通して自分たちの生活を見つめ、みんなで協力してさまざまな課題を解決していきました。

その実践を記した「山びこ学校」が総計10万部以上のベストセラーになり、翌年、映画化もされました。

綴方とは、今でいう作文です。作文の何が素晴らしいのか、現代に生きる私たちには、ピンとこないと思います。

歴史的な経緯としては、戦中は言論統制で、国内では言いたいことも言えない状態でした。何か反政府的なことやそうでなくても少し人と違うことを言うと、なんやかんやと理屈をつけて特高(今の公安、裏の警察組織)に逮捕される時代でした。綴方の実践自体は、先輩の先生たちも実践していましたが、その先生たちが特高に逮捕されたりして、とだえていました。

戦後の民主主義の流れの中で、無着先生が綴方を復活させ、自由にものが言えるすばらしさ(表現の自由)を当時の人たちは、実感したのだと思います。

今日でも表現の自由の問題は、権力との関係の中で繰り返される普遍的な問題です。権力や迷信に惑わされず、自由に考えを言うことができる有難さを思い返したいですね。